「家族の絆」について。
「ひきこもり」の要因は様々で、その人その人の持って生まれた性質・気質や家庭環境などにより、非常に個人的な要素が大きいものですが、家族、特に親御さんの人生観や、その人生観を生んだ社会環境の影響は計り知れないものがあります。
近代の日本においては、戦後の産業構造の変化、またライフスタイルの変化の延長線上の一つの問題として、「家族の絆」が薄くなっている、またはそれがほとんど見られないという状況が少なからずあります。
家族の絆とは、「励まし」や「勇気」、「活力」を与えてくれるエネルギーであり、「どんな時でも無条件に自分を受け入れてくれる」という絶対的な安心感です。それはその人の「人間としての根っこ」であり、人の心の底に
ある「愛の命綱」。普段それに気付くことはなくても、何かの出来事により心が負けそうな時、それを頼りにして次へ命をつなぐことができるものです。
それが希薄であったり、不幸にも無かったりすると、「自分(または自分の人生)を信頼できない」、そして「他者を信頼できない」といった、社会生活を営む上での大きな障害を抱えてしまうのではないでしょうか。
それは当人にとって非常に大きな問題であり、周囲の人達へも何らかの影響を及ぼします。また社会全体の枠組みで捉えた場合も、その人がスムーズに社会参加できないということは、その人が持って生まれた“才能”や“資質”を社会が受けられないということであり、そのことは社会全体にとっても大きな損失であると言えます。
家族の絆は、その家族を越えて、各家族の集合体である社会そのものにも影響を及ぼす、とても大切なものであると思います。 |